届かないクラウドファンディング Advent Calendar 2018 14日目は、kraftwerkです。
"highly innovative portable power plant"、いわゆる燃料電池です。
従来のモバイルバッテリーと違い、コンセントに繋いで充電するのではなく、必要なのはライター用のガスだけ。出先で充電が切れてもガスを買えばすぐに復活する、という触れ込みでした。
私の支援したプランは99米ドル、お届け予定時期は2016年2月でした(予想市販価格は149米ドル)。
2015年1月にKickstarterでローンチしました。その後2015年3月に11,649名の支援を受けてプロジェクトは成立します。
が、今現在Kickstarterのページにいっても「知的財産権の問題の対象であり、現在利用できません」と表示されるばかりで内容を確認することができません。
そのため今となっては細かいスペックやアップデートを追うことはできませんが、メールの履歴をさかのぼりつつざっくり何があったのか追ってみましょう。
成立後3回目のアップデートです。
チームを増強していること、開発を進めていること…そしてアメリカで訴訟を起こされていることが報告されています。原告はKRAFTWERKというバンドのリーダーです。名前がかぶっていることが原因でしょうが、このときはプロジェクトチームも特に影響はないだろうと楽観的でした。
引き続き訴訟に関する更新です。
アメリカに引き続き、KRAFTWERK(バンド)はドイツでも訴訟を起こしたようです。
kraftwerkはドイツ語で「発電所」という意味で一般的な単語であり利用を制限されるはずがないこと、またKRAFTWERKのリーダーはこの単語に対して商標権を持っていないはずだ、ということが伝えられました。原告はこのとき和解等の議論に応じる気配はなかったようです。
この件についての公聴会が4/16に開かれるのでまた更新するね、とこの更新は終わっています。
ドイツの裁判所がkraftwerk(このプロダクト)はkraftwerkという単語を使っていい、と判断したことが報告されます。
なおこの問題のにかなりのコストが掛かったものの、遅延は発生していないそうです。
ガス工場のオペレーションをドレスデンで開始したよ、という写真付きのアップデート。
この後数ヶ月、写真付きの順調そうなアップデートが続きます。
Innovatin Prize of Saxony 2015にノミネート
キャンペーン終了後もたくさんの注文が来ておりすでに捌けないため値段の調整をおこなったこと、デザインの調整を行ったこと、そしてスケジュールが12週間遅れることが伝えられます。
アメリカでのKRAFTWERK(バンド)との訴訟でやく200万米ドルがかかるため、資金を集めているそうです。
製造に不可欠な射出成形機の納品が遅れているため、更に3ヶ月、合計で6ヶ月出荷が遅れることが伝えられます。
この語数ヶ月、1か月に一度くらいの頻度で製品の部品を紹介する更新が続きます。
さて、少し雲行きが怪しくなってきます。
概要はこんな感じ。
アンチに対してかなりフラストレーションが溜まってきているのがわかりますね
どのようなデバイスを充電するのか、等利用方法や利用環境に関するアンケートのお願いでした。
なお、このアップデートから英語の他にドイツ語の文章も併記されるようになりました
製造プロセスに入ろうとしているものの、進捗が予定よりも遅れているようです。
また、Kickstarterのアンケートツールで配送先情報を集め始めたようです。
会社をシリコンバレーに移すことが発表されました。
ヨーロッパでの資金調達が難しかったことが原因の一つだったようです。
なおこのアップデートからまたドイツ版の文章は消えています
シリコンバレーに移動してから進捗はあるけれど、射出成形機の遅延や訴訟、資金調達の問題からさらに6ヶ月の遅延が発生するようです。今のところ合計1年の遅れです。
エモい!
めちゃくちゃイライラしているのがわかるアップデートでした。
この後、kraftwerkからの更新は途絶えます。
知的財産権に関わる係争中であるため、法律によって解決するまでプロジェクトページを削除する、というメールがKickstarterの運営から届きます。
訴訟って大変だし、コミュニティへの接し方を間違うと大変なんだなあ、という感じでした。
実はこのプロジェクト、まだ会社の公式サイトは生きているし、公式Twitterもたまに更新があります。
Twitterの最終更新日は2018/12/06。
シェアされている記事を見ると、元のeZelleronは2016年に破産しており、今回は再度会社を立ち上げたようです。今度の会社はfuel cell core
というガスを電気に変えるコンポーネントの開発にフォーカスしており、ユーザ向けのプロダクトは別会社が製造することになるそうです。
もしかしたらまだお話は続くのかもしれません。